ご覧いただきありがとうございます。ここでは1/3スケール(DD,SDさんなど60cmクラス)のドールさんを安全に運ぶためのハードケースの詳細について説明いたします。
2023/05より通常の頒布に移行いたします。ご要望の方はBOOTHにてお求め下さいませ。
在庫が無いときはお知らせメールを登録してお待ち願います。頒布を行う時にはTwitterにて予告いたします。
0. まず頒布について
ご紹介時点で「欲しい!」というご要望をいただいておりますので、一定の需要を満たすまでは受注順に作ってお渡し、落ち着いてきたら従来の頒布品通り在庫がある場合は自由にお求めいただけるようにいたします。
ということで、ご要望の方はこのながーい説明をよくお読みいただいた上でご納得いただけましたらわたくし https://twitter.com/miratanahibi までDM(@miratanahibi)をお送り願います。
価格は送料別で、
・ケースのみ:18,000円
・ケース+肩掛け用フック+底板:20,000円
・デコレーション追加:500~2,000円くらいかな。ものによるので相談しましょう。
発送はゆうパックを使い、福岡より100サイズでお送りします。送料は送り先によって異なりますのでこちらでお調べください。スマホ割を使うので、ここに表示される金額より1割くらい安くなるはずです。
https://www.post.japanpost.jp/cgi-simulator/youpack.php
ご注文の際に、フックや底板をつけるか、デコレーションをどうするかについてもご指示いただけると話が少し早くなると思います。
頒布開始当初は少々お待ちいただくこともあるかもしれません。どうかその点はお許しを。
完成しましたらお取引はBoothを介して行います。これで皆様はお支払方法の自由度が上がり、私はいろいろとお世話になっているBooth様に手数料を収めることができます。
また、本ケースの標準状態では、取手をつかんでケースを持ち上げた時、ドールさんは横を向いて寝た状態になります。後述するように縦に肩掛けした場合はドールさんはケース内でほぼ立った状態です。ハンドルを持っているときにドールさんがあおむけになっていてほしい場合は取手の取付位置を変更します。ご要望の方はご注文の際に一言お知らせくださいませ。ご指定ない場合は写真の標準位置に取り付けます。
本ケースの型番をDDx1型とします。これは頒布第一弾がDDさんサイズを想定した一人用のケースだからです。今後ご要望があれば二人用やMDDさん用なども検討するかもです。
とりあえず自分用として、うちのいいんちょとおそらくお迎えするであろうリンちゃんrebootさんの二人用はいずれ作ることになるでしょうww
この辺のご要望もいただけますとすぐには難しいかもしれませんが、できるだけお応えしてまいります。
では以下に頒布品の詳細説明をいたします。長くてすみません。
1. 大きさ、重さ
外形はいずれもおおよそで、縦66cm、横17cm、高さ13cm、内寸は縦65cm、横16cm、高さ12cm、おくるみに入れたDDサイズのドールさんを入れることを想定した寸法です
高さ方向の余裕はこれくらいひざを立てても天井に当たらないくらいです。
重さはケースのみで1.48kg。
見た目からイメージする重さよりずっと軽く、持ち上げると拍子抜けする感じです。ちなみにゴージャスなドレスを着せた1/3ドールさんが1kg弱くらいです。
2. 材質、作りなど
ケース本体を作っている材料はアルミ複合板という、薄いアルミシートでポリエチレンの板をサンドイッチした構造の材料です。軽くて丈夫なことが特徴で、浴室やキッチンの壁面などに建材として多用されています。色は様々あるのですが、まずはオーソドックスな白を選んでいます。塗装は外側が光沢、内側はマットです。
底と天井は長方形の一枚板を、そして立壁面は細長い板を曲げ加工して作っています。
アルミ複合板の切断面はジョイナーと呼ばれるプラスチックのモールでカバーされており、コーナー部は追従するように曲げ加工が施されています。
底/天井と立壁の接続はアルミフレームとリベットが使用されており非常に強固な接続になっています。そして、接続面が集まる角部は黒いポリエチレン製のコーナーブロックをリベット止めしています。
白の本体、アルミ金属光沢のフレームと金属リベット、そして黒のコーナー材という組み合わせはしなやかで美しい意匠とタフなカッコよさの両方を感じさせるなかなか良い仕上がりになっていると思います。
金具類はオーソドックスなものを使っています。上蓋とケースをつなぐヒンジは90度を少し超えたところで止まるタイプのものを採用しました。
ロックは多分皆様もよく見かけるタイプのT型パッチン錠と呼ばれるものです。勘合爪と突起を囲むように下りてくる枠状の留め金により箱と蓋の横ずれを防ぐ構造になっています。
持ち手は黒のプラスチック製のもので、長時間持ち歩いても負担が少ないものを選定しています。
オプションのベルトフック用D環はケースを肩から縦掛けすることを想定した二か所に取り付けられます。(写真の肩掛けベルトはオプションに含まれていません。お客様にてご準備をお願いいたします。)ケースを開いてうちの子の頭が左になるように収納すれば、縦掛けした時にケースの中で頭を上にして立った状態になります。
2023/05:ベルトフック用D環は全機標準装備になりました。
縦掛けすることで人ごみの中を歩いても邪魔になりにくく、有事(笑)の際にもさっと抱きかかえることができます。
ロット3より床板は廃止され、クッション張りとなりました。
もう一つのオプションは床板です。床板はリベットやねじの頭を隠し、ドールさんの背中が当たる部分にフラットな面を作るとともに、床下に若干の収納スペースを作り出します。Tシャツや靴下などの小物、櫛くらいなら入れることができます。また、ベルトを回せば床板にうちの子を固定できます。床板はケースとベルクロでつながっていますのでうちの子がケースの中で床板ごとガタガタ動くことはありません。ベルトは何本でもかけることができます。
3.デコレーション
ハードケースをうちの子バージョンにするためにデコレーションを承ります。
デコレーションにはいろいろなやり方がありますので、これまでの実績をもとにしたいくつかの例を紹介いたします。これ以外にも(できるかどうかはさておき)ご要望を承りますのでどうぞご相談ください。
なお、紹介例には版権物のイラストやそれを利用したデザインが出てきますが、これはわたくしの個人的な複製なのでぎりぎりセーフと考えているものです。ご依頼を受けて作成するものについては版権に十分ご留意ください。ロゴやフォントにも版権がございます。なお、ピアプロ関係のものについてはオリジナルのものであればミクさんなどのピアプロキャラを使っていても許諾なしに外部業者へ依頼して作製することが認められております。詳細はピアプロガイドラインのA-2をご参照ください。
https://piapro.jp/license/character_guideline
では例を紹介いたします。
まずアクリルをレーザカットして両面テープで貼りつけるもの。
これは白アクリルをミクさんの01に切り抜いてコーナーブロックの上に貼りつけたもの。切り抜き文字を介してコーナーブロックの黒が見えますのでコントラストが高いです。
そしてこれはSERIAで売っているシルバーのミラーアクリルを雪ミクスカイタウンさんのマークで切り抜いたもの。このくらいのサイズが限界ですが、よく目立ちます。ミラーにはゴールドのものもあります。
他にも単色のアクリル板は様々な色の市販品が入手できます。ご相談ください。
アクリル切断によるデコレーションは、色/大きさ共に私の手元にある材料で間に合う場合は(とんでもない面積や数じゃない限り)追加費用500円にて承ります。アクリル板材を買う必要がある場合はその費用を追加でご負担願います。薄手のものになると思いますので、1500円くらいで十分なサイズのものが手に入るはずです。
ちなみに、突板~2mmくらいまでの厚さなら木の板をアクリルのように切って貼りつけることも可能です。
お次はカッティングシートを使ったデコレーション。これもカラーアクリルと似たような効果ですが色のバリエーションが豊富です。またケース全面を覆うような大面積のものも作ることができます。
こういったものです。
こちらも私の手元にあるシートで間に合う場合は追加費用500円にて承ります。ない場合は買うことになりますが、数百円で済む範囲と思いますのでご負担をお願いいたします。
あとこれはあんまりやりたくないですがww頑張ったので紹介させてください。こんなこともできます。これは版権的にはNGじゃないかなと思いますが…
お次はカラーアルマイトプレートです。アルミの板にレーザでデザインを描き、電気化学処理を行って着色するものです。手間はすごくかかるのですが、美しいオリジナルプレートを作ることができます。
例えばこういったものです。
上下の二枚の写真はうちの子専用ケースのために作ったものです。
そしてこちらは屈身タイプのハードケースをモニターいただいたへびあたま(@Datte_14_Desuyo)さんにデザインをいただいて作ったもの。
リンちゃん&メイコさん用ですね。
これはもう一人のモニターさんであるおれんじぷらねっとR(@orangeplanetR)さんにつくったもの。ジャンヌさん用のケースです。
ジャンヌさんハードケース
ケースにつけるエンブレムをLPA法アルマイトで作りました。50×70x2mmと大きめのサイズです。
ジャンヌ・ダルクの紋章の下に「オルレアンの乙女」https://t.co/YaH11WviRY pic.twitter.com/Prr2J6NCzz— みら太@みら太な日々 (@miratanahibi) January 3, 2022
ジャンヌさんのハードケース
サイズ確認のための仮引渡しを行いました。
今日から仕事開始です。 pic.twitter.com/7DZ3fWG9Kl— みら太@みら太な日々 (@miratanahibi) January 4, 2022
カラーアルマイトは印刷ではなく染色処理なので剝がれたり欠けたりすることはありません。また非常に硬く、サンドペーパーで思いっきり頑張らないと削ることができないほどです。
ということで、こすったりぶつけたりするケースに取り付けるには適したものだと思います。
カラーアルマイトプレートは非常に手間がかかるものですので2000円を追加でいただきます。デザインについては相談しましょう。
なお、アルマイトプレートは材料を切削加工で切り抜いてから絵の部分をアルマイト処理するといったことも可能です。この辺になると工数がデザインによって変わるので相談しましょう。
ちなみにこれはわたくしのミクタフトさんのリアゲートに貼っているものです。
そのほかにもタグをぶら下げるためのリングの追加とか、縦方向にもゴム足をつけるとか、そういった機能面でのデコレーションも対応いたします。この辺りは部材により様々値段が変わりますので相談しましょう。よっぽど面倒なものでない限り取り付け費用はいただきません。
ハードケースは高いお買い物ですので、皆様によりご満足いただけるようできるだけ追加費用を抑えてご要望に沿う努力をしたいと考えております。
4. ご注意点
・ハードケースは完全ではありません。過度の力がかかると潰れますし、ケースを落としたりすると衝撃はそのままうちの子に伝わります。ソフトケースに比べると遥かに頑丈ですが過信はされませんようお願いいたします。
・基本構成では取手を持った時にうちの子は横を向きます。仰向けのまま運びたい場合は取手を蓋の上に取り付けます。この場合ケースを持った時の横幅が17cmになり、基本構成の13cmに比べるとやや広くなります。ゴム足の位置をどうするか、またベルトフックをつけたい場合の場所をどうするかなどは相談しましょう。
・ケース内部にはリベットやネジのお尻が飛び出しており、衣装や髪の毛をひっかける可能性があります。
作製する際にバリは極力除き、袋ナットを使うなどできるだ引っ掛かりが少なくなるように留意しておりますが、ゼロにはなりません。おくるみ、タオルなどを使ってうちの子を守ってあげてください。
※以下は説明ではなく私のポエムなのでご興味ある方のみお読みくださいませww
5. ハードケース設計にかけた熱い思い
マジカルミライなどで私を見かけたことがある方はこのケースを目になさったかもしれません。
このケースはドールさん用ハードケースとして最初に作ったものです。
箱材はMDFという木質板、これに白いシートを貼り、アルミフレームで縁を強化。コーナーブロックは3Dプリンタで専用形状を作っています。内装にも非常に手をかけており、緩衝材をボディ形状に合わせて切断して積層したものに布をかけ、ドールさんが屈身状態でピッタリ収まるように作っています。(もちろん真紅のあれをイメージしていますww
このように、最初に作ったケースは外観のカッコよさと内装の美しさ、そして屈身故に全長が短く、機内持ち込みサイズに収まっていること、などなどたくさんのこだわりを詰め込んだものでした。
このケースはモニターさん向けに計3台を作り、一時は頒布も考えたのですが、あまりにこだわった作り故に職人技と膨大な作製時間がかかり、まともな価格ではご提供できないものとなってしまい頒布をあきらめておりました。また、MDFベースのこのケースは非常に重いという問題も抱えていたのです。
頒布をあきらめた後もハードケースのことはずっと頭にあり、ことあるごとに思い出しては店頭や旅先で様々なスーツケースや展示ケースなどを見て何かないかとヒントを探しておりました。
で、そうやって考え続けているうちに雑多に詰め込んだカオスな情報が頭の中で次第に形を成し始め、とある着想をきっかけに「これでええやん」と今回のハードケースの基本形に思い至ったのです。
それが昨年の12月、ついこないだのことです。
ドールさん用ハードケースの画期的なコストダウン方法を思いつきました!!! しかも強度を保ったまま大幅な軽量化が実現できそうです。
この工法は伸身型(棺桶型)と最も相性が良さそうなので、まず伸身型を目指して商品化検討を再開したいと思います。 pic.twitter.com/iZA8RBPtYY— みら太@みら太な日々 (@miratanahibi) December 12, 2022
ポイントは「アルミ複合板の曲げ加工」でした。
軽くて頑丈な板材としてのアルミ複合材は前々から知ってはいましたが、材料をMDFからアルミ複合板に替えただけだと別に工数が減るわけではないので頒布価格を抑える効果はありません。(アルミ複合板は高いので頒布価格はむしろ上がる方向です)しかし、アルミ複合板を曲げ加工できれば話は別で、ケース部分の組み立て工数を大きく削減することができるのです。
ちなみにアルミの曲げ加工についてはここに非常に詳しい動画があります。大いに参考にさせていただきました。
板材で直方体の箱を作るには辺が12本必要です。少なくともこの12辺は接続作業をしないと箱になりません。さらにハードケースは単なる閉じた箱ではなく、下の箱と上の蓋に分割された開閉可能状態です。このような構造にすると接続が必要な辺の数は4本増えて16本となり、さらに切断された部分の木口8辺の処理も必要になります。これらに対する作業がハードケース作製工数の大部分を占めていたのです。
一方で下の箱と上の蓋それぞれの立壁面に曲げ加工を使うと接続が必要な辺の数は16本から一気に2本に激減します。
まず曲げ部分4か所の上下計8か所は最初からつながっており、単に曲げれば終わりなので接続作業は不要になります。そして、この構造だと床板天井板と立壁の接続は連続した一つの辺が床板天井板の外周をぐるっと回っているだけになりますので、距離は長いですが、接続が必要な辺の数としては一本です。これが上下にあるので2本。よって16本が2本になるのです。
この構造を思いついたときにハードケース作製工程を頒布可能な工数に抑え込めることを確信しました。
一旦ブレークスルーすれば後は何とかなるもので、木口の処理はジョイナーの一部を切断して曲げ加工することで木口4辺分を一度に処理する方法を思いつきました。もちろんアルミ複合板でやる「曲げ加工」がキーワードになっています。
そして既製品ではよいものが無かったコーナーブロックについても安くて良い方法を見つけました。
コーナーブロックはその名の通りコーナーをブロックするもので、直方体のハードケースを閉じたときに8か所ある角を保護するものです。この部分には床材の角、アルミフレームの切断面などが集まっており、鋭く危険な上に外観も見苦しい部分です。ここを丸ごと覆って危険な切断面に触れないようにし、同時に見苦しい部分も見えなくするのがコーナーブロックの役目です。
角部を保護ずるという機能には一定の需要(子供がテーブルの角に頭ぶつけないようにするクッションとか)がありますので、コーナーブロック的な作用を行う部材は市場にたくさんあります。しかしながら、今回のハードケースに使える形状を持ったものは見つからず、3Dプリンタで自作するにも樹脂コストが高く、時間もかかり、それでいて強度はいまいちという状態で、やや手詰まり気味ではあったのです。そんな時に見つけたのが梱包助材として輸送中に家具の角などを保護するために使われているカバーでした。このカバー材は薄くて軽くてやわらかくて丈夫というハードケース用のコーナーブロックとして最適なもので、さらに色は黒のため白いケースの角を引き締めるカッコよさもオマケされます。ということで、これをコーナーブロックとして採用しました。
そのほかの部分についても少々。
まず蓋のロックに使っているT型パッチン錠について。このパッチン錠には簡単なカギが付いたタイプもあって、一時期「大事なうちの子を入れるケースなので鍵付きが良いのではないか」というのを結構考えてました。が、結論としてカギは採用していません。これはコストダウンではなくカギを失くしてしまうリスクを避けたかったからです。本来このカギは盗難防止ではなく不用意にケースが開いてしまうことを防ぐためのものです。ロックにカギがついていても、うちの子盗みたけりゃケースごと持っていけばいいのでそもそも盗難防止にはなりません。ということで、ただでさえ持ち物が多くなるうちの子とのお出かけでカギを失くすという困ったトラブルが起きないようにしました。ロックは二か所あり、さらにうちの子は中でベルト固定されるので不意に箱から転げ落ちるということは無いと思います。
次に持ち手です。持ち手は実に様々な種類があって非常に悩んだところです。4種類を使い比べてみて最終的な採用品に落ち着きました。ポイントは何といっても持ちやすさです。お試ししたもののうち、レザー巻きのものはミシン縫いの接合部分の断面が手のひらにあたるところに違和感を感じて不採用。残りはプラスチックのもので、これらは互いに似たような外見でしたが、成型するときの型の合わせ面に線が残っているものがあり、これが指の腹(第二関節付近)にあたるのが気になるものがありましたので除外、以下比較を行って、あたりの問題もなく、太さもちょうどいいと感じたものを採用しました。
以上のような経過を経て、ようやく本体価格18,000円、オプション込みで20,000円というちょっとお高めの服くらいのお値段でご提供が可能となりました。
わたくしなりに一生懸命考え、いくつもの試作を経て作り上げた自信の一作です。どうぞ皆様にご愛用いただけますよう。
長々失礼いたしました。
コメント